新大阪総合税理士法人

新大阪総合税理士法人 > 記事一覧 > 円高時の海外進出について解説!メリットやデメリットはある?

円高時の海外進出について解説!メリットやデメリットはある?

記事一覧

円高は、日本の輸出企業にとって逆風となりますが、一方で海外進出を考えている企業にとっては追い風となる可能性があります。
円の価値が高まることは、海外での事業展開にさまざまなメリットをもたらすからです。
この記事では、円高時の海外進出のメリット・デメリットについて解説いたします。

円高とは?

円高とは、外国の通貨に対して円の価値が高くなる現象のことです。
たとえば、1ドル120円だった為替レートが1ドル100円になった場合が円高です。
これまで120円支払っていたものを100円で手に入れられるようになるため、円の購買力が上がります。
逆に、円安は円の価値が下がる現象のことです。
一般的に、円高時には企業の海外進出がしやすくなります。
ここからは、円高時の企業の海外進出のメリット・デメリットについて説明いたします。

円高時の海外進出のメリット

円高は、海外進出を検討している企業にとって、いくつかのメリットをもたらします。
まず、海外資産を安く取得できることです。
円の価値が高くなるため、現地の土地や工場、設備などを安く買収できます。
たとえば、円安時に1億円の工場を建設するのに1億2,000万円かかったとすると、円高時には1億円で済む場合があります。
次に、M&Aを有利に進められることです。
海外の企業を買収する際、少ない円で多くの株式を取得できるため、買収コストを抑えられます。
これにより、新たな事業分野への参入や、既存事業の規模拡大を効率的に進めることが可能になります。
また、人材の確保も有利になります。
現地の優秀な人材を、日本円換算で安く雇用できる可能性があります。
特に、高度な技術や専門知識を持つ人材を獲得する上で、大きなアドバンテージとなります。
さらに、海外で事業を行う場合、原材料や部品を現地通貨で調達することが多くなりますが、円高であれば、日本から送金する際のコストを抑えられます。
これにより、製造コストの削減にもつながり、海外市場での価格競争力を高めることができます。 円高は、企業のグローバルな事業展開を後押しする絶好の機会となり得ます。

円高時の海外進出のデメリット

円高には、海外進出のデメリットも存在します。
まず、海外で生産した商品を日本へ輸入する場合、日本国内での販売価格が円安時よりも安くなってしまうため、売上や利益が減少する可能性があります。
次に、海外で事業を行う際に、現地の通貨で得た収益を日本円に換算すると、円高によって目減りしてしまいます。
これにより、為替差損が発生するリスクがあります。
たとえば、現地の通貨で100万ドルの利益が出たとしても、為替レートが1ドル120円から100円に円高になった場合、日本円に換算すると2000万円の目減りとなります。
為替変動リスクを管理するためには、為替予約などの対策が必要です。

まとめ

円高とは、外国通貨に対して円の価値が上がることです。
円高は、海外資産や企業を安く取得できる、M&Aを有利に進められるなど、海外進出の大きなメリットとなります。
一方で、海外で得た収益が円換算で目減りする為替差損のリスクや、日本への輸入品の価格競争力低下といったデメリットも存在します。
企業が円高を活かしてグローバルに展開するためには、これらのメリットとデメリットを十分に把握し、為替予約などの対策を通じてリスク管理を徹底することが重要です。
国際取引の税務問題でお困りの際は、ぜひ税理士にご相談ください。